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本プロジェクトは、芦屋駅から15分ほど北に歩いたところにある丘の中腹に位置する築40年のマンションの一室をリノベーションするというものでした。

私たちプロジェクトチームがこのリノベーションで実現しようと取り組んだことは、「残せるものをできる限り廃棄しないこと」「それらの既存価値を再評価し、新たな空間の要素として再構成すること」「多くのマンションにある表と裏の階層をできる限り消すこと」でした。

はじめて訪れたときに魅力を感じた既存のパーツの多くは、さまざまな材種が用いられかつ日当たりの状況によって色や質感にばらつきがある状態でした。また築年数が経っているマンションの特徴でもある躯体の精度の低さ、粗さなどの問題がありました。私たちはそれらの素材が経てきた時間を評価し、新しくつくる空間の要素として受け入れることにしました。

色や素材などの要素をできる限り集約していく、という思考プロセスが設計者としての癖としてあり、どこかに違和感を感じながら既存パーツを空間の要素として受け入れ再構成していく作業は心許ないものでもありました。

これらの要素を再構成する段階で、分節された空間各々の関係性や家族の距離感、将来にわたる住まい方の拡張性について議論しました。そのなかで構成された空間の距離感を調整し、また動線の階層を消してくれる装置として「3つの大きな抜け」を設えました。

このプロジェクトを通して、建築という行為が大きな時間の流れや様々な多様性を受け入れるために機能するということを感じることができました。

所在地 :芦屋市東芦屋町
用途  :マンションリノベーション
延床面積:97.08㎡
設計監理:今津修平+北川浩明
施工  :たかとり工務店
竣工  :2016年6月
写真  :今津修平+北川浩明