芝生の食卓へ
びわこ文化公園、芝生の丘に寄り添うようにして建つカフェのリニューアル。竣工してまだ日は浅い既存空間は、内部を見渡すと厨房が大半を占め、腰を据えて食事をする場所はほとんど計画されていない不思議な構成だった。
私たちは、この建築が食事のための空間であることより、目の前に広がる芝生広場でピクニックがしたくなるような、そんな仕掛けができないかと考えた。
そこで手を入れたのは、パンを並べる棚と、それを外の芝生へと手渡す受け渡し口という、ふたつの小さな場所だけである。奥行きをつくり込むのではなく、色面と線を並べるように、ふたつの空間の関係を平面的に組み立て直した。厨房の情報量を削ぎ落とし、棚と受け渡し口だけが客の視界に残るよう調整することで、建築自体がひとつのバスケットケースのように、必要なものだけをそっと差し出す装置になる。
お客さんはパンを受け取り、木陰でも芝生の上でも、自分の好きな場所に食卓を広げることができる。
このリニューアルが目指したのは、公園という風景のなかに食卓が広げられては消えるという体験を生み出す装置へと、店舗そのものを変換することである。





information
| 所在地 | 大津市 |
| 用途 | 飲食店 |
| 計画面積 | 71.56㎡ |
| 設計監理 | 今津修平+右田知哉 |
| 施工 | 清水建設工業 |
| 企画 | 日と々と |
| 運営 | 西武造園 |
| 竣工 | 2026年5月 |
| 写真 | 岡田和幸 |

