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神戸市郊外のなだらかな丘陵地にある牧場の倉庫内にある従業員の会議スペース及び休憩室の改修である。
広大な敷地には鉄骨造の牛舎や倉庫などが数多く建っている。それらはいわば「原始の小屋」のごとき潔い構造体そのものでありながらも、長い年月を経て初めて得られるであろう錆による着色や、何かの入り混じった埃をまとっており、他にない独特の深みをもった景観を形成している。
そのような中に従業員休憩所を設けるにあたり、我々は新たにピカピカの建物を建ててしまうより、醸成されてきた景観と新たなものが渾然一体となるような在り方を模索しようと考えた。
丘陵地のなだらかな稜線を小屋の稜線と重ね合わせること/既存倉庫外壁の波板の風景を増設したテラスの手摺に転写すること/山のように積まれている藁の姿を倉庫内部側の壁の意匠に引用すること――など、新たに付加されるものの設計そのものを見慣れた風景の編集作業として取り組んだ。
内部は会議スペースや更衣室、シャワールーム、休憩スペースからなり、倉庫の形状に合わせたおおらかな空間としている。また、南に望む明石海峡の水平線を転写するように、内部の壁に明度差をつけ象徴的な風景と室内を同期している。

所在地 :神戸市西区
用途  :休憩室
設計監修:今津修平+小坂田雄介+北川浩明
施工  :たかとり工務店
竣工  :2017年11月
写真  :小坂田雄介+北川浩明