000

001

002

003

004

005

a006

a005

a004

a003

a002

a001

所在地 :神奈川県逗子市
用途  :専用住宅
延床面積:101.77㎡
設計  :MuFF
家具建具:東京バンドソー
施工  :むらやま建設
竣工  :2015年3月
写真  :今津修平


interview
2023年5月

逗子海岸から少し内陸に入ったところにある小さな家。周辺に軒の低い家が連なっていることから、開放的な空間を確保できる2階に家族が集まるスペースを設けている。
竣工から8年が経ち、家族が増えて家自体にも味わいが増したと話す施主の田中さん。設計依頼時の思いや現在のご自宅での過ごし方などを伺った。

一生に一度だからこそのフィーリング
「依頼する際、素人なりの思いを汲んでくれるかどうかということがポイントでした。漠然としたオーダーに対しても、咀嚼して答えを打ち返してくれたことですんなりと任せたいと思えました」と言う。ある程度の共通認識の中で気持ちよく話が進むかどうかが重要で、意外にも思えるが決め手はフィーリングだった。

逗子海岸花火大会を見るためのスペースを設けたいという望みがあり、3階の屋上に物見台を設置し花火が見られるような計画を進めることに。設計中には脚立とビールを持って花火大会へ出掛け、思いを共有しながらデザインの話をした思い出が残っている。今年は4年ぶりに花火大会が開催され、自宅に友人が集ったそうだ。

家族の存在を感じられるスペースづかい
間取りがつながっていてゆるやかにお互いの気配を感じられるような家が良いというイメージは大事にしたいと考えていた。「部屋数が少ないと言われたりもしますが、住んでみると天上の大きな梁もバルコニー側への抜け感もやっぱりバランスが良い、ここでぼけーっとしている時間がお気に入りです」リビングの椅子に座りながら語ってくれた。

並走しながら決めていく
設計中は、できる限り変更に対応しようという姿勢を見ていたので納得感が大きかったという。基礎工事や扉の微細なカラーでも戻れるギリギリのタイミングまで確認を行なっていたことに信頼を置いた。
思っていたよりもスムーズに進み、設計依頼からちょうど1年ほどで竣工。その中で何度も変更を加えて決め直したのは浴室。ご自身の身長が高くしっかり足が伸ばせる湯船は、賃貸住宅では叶えられない夢だった。こだわった甲斐があり、子どもたちとゆったり過ごせる浴室になっている。

象徴的な存在だった花火の見える屋上よりも、今では長く過ごすリビングがお気に入りの場所になったと心地良さそうに話す姿が印象的。家族を中心に人が集い、これからもたくさんの思い出が増える家になるのだろうと想像してあたたかい気持ちになった。

文:寺田 愛